1116カゲキリムシ
カゲキリムシ
西沢杏子:作 山口 まさよし:画
A5変型判上製 88ページ 定価:1,500円+税
ISBN978-4-86261-187-1 C8093
発行:2024年6月
対象:小学校中学年から
内容
ちょっぴり弱くなった気持ちを、なぜか元気にしてくれる。
へんてこだけどいとおしい、ふしぎな生き物たちとの出会いとわかれの物語。
カゲを食べる忍者カゲキリ、こうもりがさに変身するおしゃべりなコウモリ、魔法をあやつるモグラ、冒険をともにするヒラマキミズマイマイの親子、かしこいウオの目。
勇希が出会う生き物たちは、いつも〝ふしぎ〟と〝ユーモア〟がいっぱい! 目ざめるか、勇希の勇気――?
* * * *
勇希は、ぞーっとした。ちかごろ強くなった、といってもムシはだめ。ムシには、まだ弱い。
「ムシはムシでも、ただのムシではないぞ、おれは」
ムシは、いばっていった。
「カゲキリムシ。またの名を〝忍者カゲキリ〟と、いう」
「忍者カゲキリ?」
「そうだ。忍者のようにあらわれて、カゲを切る。カゲを切っては、むしゃむしゃ食べる」
勇希のせなかは、ぞくぞくしてくる。
「ぼくのカゲも切るつもり? 食べるつもり?」
「もちろん、そのつもり。このごろ強くなったって、さっき、いってただろうが」
「う、うーん」
(「1 カゲキリムシ」より)
* * * *
目次
1 カゲキリムシ
2 コウモリのこうもりがさ
3 モグラのあくしゅ
4 いつもとちがう朝
5 ウオの目さま・タコの目さま
著者プロフィール
■作:西沢杏子(にしざわ きょうこ)
詩人・作家。詩集に『虫の落とし文』『虫の恋文』(第19回「三越左千夫少年詩賞」受賞)『ズレる?』(第15回「丸山豊記念現代詩賞」受賞)『さくら貝とプリズム』など。絵本に『おちばのプール』『カタツムリの親子』『どんどんどんぐり!』など。幼年童話に『トカゲのはしご』(毎日新聞小さな童話大賞「山下明生賞」受賞)『むしむしたんけんたい』シリーズ三巻、児童小説に『青い一角』シリーズ四巻、『羽根にねがいを!』など。掌編集に『猫年2月30日』。日本児童文学者協会、日本文藝家協会会員。
HP「虫の落とし文」
■画:山口 まさよし(やまぐち まさよし)
長崎県生まれ。水彩色えんぴつを使った作風で、こどもの本を中心に物語挿絵や生き物・自然をテーマにイラストを制作。おもな作品に「はっけんずかん どうぶつ」(Gakken)、「The Gift~女神の花アプロディア」(全日出版)、「ドン・ロドリゴの幸運」「はるかなる絆のバトン」(汐文社)、「おちばのプール」「はっぱのてがみ」(子どもの未来社)、「きょうりゅう あっちむいて ホイ!」「きょうりゅう かくれんぼ」(講談社)、「鳥になった恐竜」シリーズ(全2巻/理論社)などがある。日本児童出版美術家連盟会員。